大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(う)1816号 判決

刑法一九〇条にいう死体遺棄罪は、死者に対する社会的風俗としての宗教的感情を保護法益とするものであつて、死体を現在の場所より他所に移して放棄するのはもちろん、宗教風俗上、死体の処置に関し、道義上首肯しえないような方法で埋葬、冷遇放置、隠匿する場合には、死体遺棄罪が成立するものと解するのが相当であるところ、被告人が、たとい萩原とみの死体を家屋外に搬出、放棄しなかつたとしても、同女を殺害後、犯跡を隠蔽するため、同女の両手を後手に緊縛したうえ、押入れ内の最も奥の、布団と板壁との間に落し込むように押し入れたばかりでなく、その死体の上にマツトレスを被せて覆い、外部から容易に発見しえないように隠匿した行為は、まさに、道義上首肯しえないような死者に対する宗教的感情を害する新たな行為というべきであり、死体遺棄罪を構成するものと解するのが相当である。

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